【チーム分析】昨シーズン中とオフに大型補強をしたシカゴ・ブルズは本当に強いのか?
エース、ザック・ラヴィーンの期待に応えるためのチーム
2010年代にデリック・ローズがケガによって放出されてから、ドウェイン・ウェイドやレイジョン・ロンドがいたにもかかわらずチームは強豪として見られることはなく、それはミネソタ・ティンバーウルブズからトレードでザック・ラヴィーンという有望な若手を獲得してからもそうでした。
しかし今シーズンのブルズは今までとは一味違いチームに仕上がっており、プレイオフは確実、どこまで勝ち上がれるかという話がブルズを囲む話の中心になっています。では実際のところ今年のブルズはチームとしてどうなのか。今回はブルズの今年について分析と考察をしていきます。
オフの補強の評価
ブルズはオフに大きめの補強をしたチームです。補強の中心はデマー・デローザンとロンゾ・ボール、そしてアレックス・カルーソです。ガードを中心に大きく補強をしたブルズですがその実態はどうでしょうか。まずはPGの視点から解説していきます。
ロンゾの評価
ロンゾはペリカンズでPGとしてレイカーズ時代と比べて大きく成長しました。アシスト能力やディフェンス能力はもとからある程度の評価を受けていましたが、レイカーズでは得点力、特に3PTとFTのシュート力が現代PGとしてなさすぎると言われていました。
ペリカンズではザイオンとイングラムというディフェンスを引き付ける選手が周りにいたことが大きいかもしれませんが、平均得点を15点近くまで伸ばし、3PTを約38%、FTを約80%で決めることができるまでに成長し、あと一歩でスターに慣れるというところまで評価を上げました。
ブルズでもペリカンズと同じようにラヴィーンと後述のブーセビッチやデローザンという引力のある選手がいますので、同じような活躍、もしくは勢いに乗ってさらなる成長が期待できると思います。ケガをしやすいかもしれないことが心配ですが、コビー・ホワイトやカルーソなどの頼れる代わりのPGがいますので負担を分担しながらプレーでき、ケガも減るのではと考えています。
カルーソの評価
もう1人のPGとしてブルズはカルーソをレイカーズから獲得しました。カルーソは「ボールド・マンバ」の愛称からわかる通りマンバにふさわしい身体能力を持っています。ロンゾとホワイトとは違うタイプのPGを獲得することができたのは非常に良い補強だったと思います。
カルーソは一昨年と昨年レイカーズで見せてくれたように、ベンチから安定した得点を量産してくれる優秀なベンチプレーヤーとして貢献してくれることが、1番大きなプラスポイントです。ロンゾやホワイトの控えプレーヤーとしての活躍にも期待できますし、若手のホワイトと同じように温厚な性格の持ち主のカルーソはホワイトをうまく成長させることができるメンター的存在(メンターとしては若すぎる気がするが)としてもチームに貢献してくれそうです。
ラヴィーンを得点面で大きく支える補強
今年1番ブルズで大きな補強はスパーズからFAとして放出されたデローザンと契約をしたことです。契約は彼のプレースタイルや年齢を考えると少し高いかもしれませんが彼の得点能力とスパーズで成長したプレイメイキング能力はラヴィーンの負担を軽減しつつ、チームの成長にも大きく貢献するでしょう。ここからはデローザンの影響を細かく見ていきます。
高いスコアリング能力
デローザンはキャリア平均20得点以上を記録していてミドルレンジやドライブからの得点が得意な生粋のスコアラーですが、ドライブを使った得点という点でラヴィーンと役割がかぶっています。しかもデローザンは外のシュートが絶望的に苦手なのでラヴィーンとスコアラーとして共存するのは難しいように思えます。しかし、ラヴィーンやブーセビッチ、新加入のロンゾが外のシュートを打てますのでスペーシングの点でデローザンの加入が問題になることはなさそうですし、純粋な頼れるスコアラーの追加になったと思います。
スパースで伸びたプレイメイキング能力
デローザンはラプターズでプレーしていた時にはエーススコアラーとしてオフェンスの中心選手だったのでアシストされる側だったのに対し、スパーズでは若手を引っ張るベテランとしてプレーをしていました。その影響が大きいと思いますが、スパーズでは平均アシストが6アシスト位まで伸びました。
プレイメイキングをする能力というよりも自分のドライブやミドルレンジを活かしてディフェンスを引き付けた末のパスがアシストにつながるという形のアシストが多いので突然ブルズのチームプレイのレベルが上がるということにはつながらないかもしれませんが、間違いなく彼のアシストによってデローザンやロンゾなどの外を中心に攻めるプレーヤーの得点は増えるでしょう。
チームの中心との相性
そのように得点力とディフェンス力を持ったPG2人を補強したブルズですが昨シーズンからチームの中心としてプレーした2人(ラヴィーンとブーセビッチ)との相性はどうなのでしょうか?
そもそもブーセビッチをブルズが獲得した理由としては、ラヴィーン以外のスコアラーがいないという問題とラヴィーンのためのスペースがないという問題の2つを解決するためでした。ブーセビッチはセンターとして最強クラスとはいわずともトップクラスの実力を持ちながらも外のシュートも打てるという万能プレーヤーであり、これによってブルズはスコアラーとスペースが足りないという問題が緩和されましたが完全に問題が解決したわけではありませんでしたが、それはデローザンの獲得によって解決されています。
ブーセビッチはディフェンダーとしては普通の選手であるためディフェンスが苦手なラヴィーンとの組み合わせの場合ディフェンスが心配になりますが、その問題はPG2人の補強で解決することができました。まだ安心できませんが、ロンゾもカルーソも40%前後で外のシュートが打ててスペーシングに貢献できますし、ディフェンスも平均以上でうまいのでディフェンス力の点でもプラスの存在として貢献できます。
まとめ
昨年足りなかった部分をしっかり補強出来たブルズは評判通りプレーオフ出場は固いチームだと思います。しかしカンファレンス・ファイナルやファイナルを戦えるほどの戦力にはまだなっていないと思います。今年はプレーオフで経験を積んで来シーズン予想以上に成長した場合、可能性は低いですがチームを維持出来たらファイナル進出も見えてくるかもしれません。