【選手紹介】プレーした時期に恵まれなかった史上屈指のダンカー:ドミニク・ウィルキンス(2/3)
様々な要因に阻まれた王者への道
前回はウィルキンスのNBA入りからスーパースターへの成長、そしてプレイオフを勝ち抜けなかった時期について紹介しました。ウィルキンスは個人としては得点王受賞やオールNBAチーム選出、スラムダンクコンテストチャンピオンなど多くの栄誉を若くして得ていましたが、NBA優勝を成し遂げることはできていませんでした。これにはジョーダンの登場やセルティックス王朝など外的要因が多く影響していましたが、キャリア中盤でも同じような他チームの影響を受け続けることになります。今回はウィルキンスのキャリア中盤について紹介していきます。
大規模な補強~ディフェンディングチャンピオンの壁
前年王朝を築いていたセルティックスをあと一歩のところまで追い詰めたホークスにはこの1988~1989シーズンこそ優勝の年だというファンの大きな期待が寄せられていました。そしてチームはその期待に応えるべく大きく補強に乗り出しました。ホークスはトレードで34歳ながら優秀なCだったモーゼス・マローンとスコアリングを得意としていたレジー・セウスをトレードで獲得しました。2人の新たな得点源を得たことでウィルキンスのボールタッチは減り、平均得点も26.2得点と大きく下がってしまいましたが、それでもチームリーダーとして圧倒的な実力を誇っていた彼は当然のようにオールスター選出とオールNBA3rdチーム選出を受けます。この年マローンは33歳ながら20.2得点11.8リバウンド、セウスは平均15.8得点を挙げており、ケビン・ウィリスが離脱していたチームをしっかりと支えてプレイオフに出場しました。プレイオフ1回戦ではリッキー・ピアースやテリー・カミングスがいたバックスと対戦し、マローンが21.0得点とウィルキンスが27.2得点を平均し奮闘しましたが、またしても最終7戦で敗れ大補強もむなしくオフに入りました。
翌シーズン、セウスはマジックのエクスパンションドラフトで指名されたためteamを去ってしまいましたがマローンはチームに残っており、ウィリスもケガから復帰していたためそこまでチームの実力は落ちませんでした。ウィルキンスは26.7得点を平均し得点ではリーグ5番目の成績を残し、スティールではチームトップの1.6本を記録しました。このシーズンのウィルキンスはルーキーシーズン以来最高の効率でシュートを沈めており、2PT50.4%FG48.4%で得点を積み重ねました。ウィルキンスは活躍しマローンとウィリスは変わらないパフォーマンスを発揮していましたが周囲のチームが強くなったため相対的にチームの成績は下がり、41勝41敗の勝率5割ちょうどでシーズンを終えました。この年は1985年以来プレイオフを逃すシーズンとなり、30歳になっていたウィルキンスに残された時間は少なくなっていました。
そして迎えた1990~1991シーズン、31歳と選手としての全盛期後半に入っていたウィルキンスはパフォーマンスに低下がみられ、平均得点も25.9得点と低下しました。しかしリバウンドではキャリアハイの9.0本を平均し、リバウンドと得点の2つのカテゴリでチームをリードしていました。このシーズンからウィルキンスは積極的に3PTをオフェンスの選択肢の1つとして取り入れるようになり、34.1%という時代にしてはそこそこの確率でシュートを決めていました。この年はオールスター選出とオールNBA2ndチームに選出され、相変わらずのスーパースターとしての活躍でチームをプレイオフに引き戻しました。1回戦で前年チャンピオンのピストンズと対戦したウィルキンスは1戦目こそ32得点でチームを勝利に導きましたが、それ以降の試合ではシュートの調子が上がりませんでした。FG37.2%3PT13.3%とレギュラーシーズンとは悪い意味でかけ離れたパフォーマンスで平均20.8得点に終わり、5戦でシリーズ敗退を喫しました。
キャリアを一変させる大ケガ~王朝への挑戦
1991~1992シーズン、ウィルキンスは1月のシクサーズとの試合でアキレス腱断裂の大けがを負ってしまい、手術を受け残りのシーズンを全休することになりました。彼はそれまでの試合で28.1得点を平均しており、12月のニックス戦では52得点を挙げてダブルオーバータイムまでもつれた激戦を制しました。また、このシーズンに彼はキャリア通算20,000得点を突破し史上16人目の選手として歴史に名を刻みました。ケガをする前のパフォーマンスは前年を超えるようなものだったためこのケガは非常に残念でしたが、それよりも残念だったのは彼がこのケガをきっかけにスーパースターとして活躍する期間が短くなったことです。
ケガから復帰した1992~1993シーズン、ウィルキンスはシーズン開幕から1カ月で平均27.7得点を記録して世間にアキレス腱断裂からの復活をアピールしました。12月に右手の薬指を骨折してしまいまたしても欠場が続きましたが、1月には復帰し最終的にはシーズン平均29.9得点を記録して久しぶりの得点王レースで2位につけ、オールNBA2ndチームに返り咲きました。このウィルキンスの復活はチームに希望を与えましたがプレイオフではジョーダンとピッペン、そしてホーレス・グラント擁する前期王朝ブルズに1回戦でスウィープされ復活シーズンを終えました。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回紹介したキャリア中盤ではマローンという強力なチームメイトを得たにもかかわらずプレーオフで自信が不調になったり、接戦で負けてしまったりと肝心なところでパフォーマンスを発揮しきれなかったシーンが目立ちました。また、キャリア序盤と同じように周りが急激に強くなり相対的にチームとしての実力が劣ってしまうということもあり、やはりウィルキンスのキャリアは何かに呪われているかのようなものです。
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