【選手紹介】アジア史上最強のNBAプレイヤー:ヤオ・ミン(2/3)
ケガに見舞われた全盛期のスター
前回は中国からやってきた恵まれた身体と才能を持ってNBAに挑戦してきたヤオは周囲の過小評価を乗り越えて2年目シーズンにオールスターに、マグレディという相棒を得た3年目シーズンにはオールNBAチームの一員として選ばれるほどの選手に成長しました。マグレディと共にリーグ最高のデュオの1つとして2人ともスーパースターとしてチームを牽引していき、いずれは優勝を成し遂げることが期待されていました。しかし、マグレディはもとよりケガをしやすく、背中に爆弾を抱えており、ヤオも高身長選手ながらのケガに悩まされることになりました。今回はヤオのキャリア中盤について紹介していきます。
いきなり襲ってきたケガ~突破できない壁
2005~2006シーズン、ヤオは左足の踵の骨髄炎が原因でシーズンの頭から21試合を欠場しました。シーズン前半の試合の半分を欠場したにもかかわらずヤオの人気は衰えず、この年のオールスターゲームにもスターターとして出場しました。オールスター後の25試合で完全に復活したヤオは平均25.7得点11.6リバウンドを記録し、シーズン終了後には22.3得点10.3リバウンドを平均しました。彼はこのシーズンキャリアで最初で最後の20‐10シーズンを記録していましたが、相棒のマグレディは背中のケガに苦しみ47試合しか出場できず、共にプレーした試合数はわずか31試合に留まりました。さらに不幸なことに、シーズン残り4試合というところでヤオは左足を骨折してしまいました。そしてこのデュオを中心として作り上げられたチームは核を2人ともを失ったことで調子を出すことができず34試合しか勝利を積み上げられずにプレイオフ進出を逃しました。
次シーズン、ヤオは10月に足の骨折を直してプレーに戻っていましたが、12月23日に右膝を骨折してしまいました。このケガをするまでに彼は26.8得点9.7リバウンド2.3ブロックを平均しており、MVP筆頭候補に名前が挙がるほどのプレーをしていましたが、32試合を欠場したのちに3月にようやく復帰しました。ヤオがいない間も勝利を積み重ねていたロケッツは3位シードとしてプレイオフに出場しました。ジャズとの1回戦でヤオは25.1得点10.3リバウンドを平均していましたが、2勝を先取したのちに2戦を取り返され、結果的に第7戦で敗れました。32試合を欠場したにも関わらずパフォーマンスがあまりにも圧倒的だったこともあり、ヤオはシーズン終了後にオールNBA2ndチームに選出されました。
オールスターへの復帰シーズン~オリンピックでの活躍
2007~2008シーズンが始まる前の5月、マグレディとヤオという2人のスター選手がチームにいるにもかかわらず、1度も1回戦を突破することができたいなかった状況を何とか打破するためにチームはHCのヴァンガンディーを解雇し、リック・アデルマンを雇いました。HCが変わったこのシーズン、ヤオは11月9日にバックス戦で初めて中国人プレイヤーのイー・ジャンリャンと対戦しました。この中国人同士の対戦は中国全体の注目を集め生放送は20億人の中国人が観たそうです。ケガからの復帰を果たして比較的健康にプレーしていたこのシーズン、ヤオは1年ぶりにオールスターゲームに出場し、スターターとしてプレーしました。チームはオールスター前にも8連勝を記録していましたがオールスター後にもその勢いを保って12連勝を記録しました。勢いに乗っていたロケッツでしたが、2月末にヤオが左足を疲労骨折してしまい結果的にプレイオフを含めてプレーすることができなくなりました。
プレイオフで活躍することはできなかったヤオでしたが、北京オリンピックでは「ここでプレーしないことは僕の人生にとっては一番の損失だ」と言って足の手術を乗り越えてプレーしました。7月17日にプレーできる状態で代表チームに合流した彼は、アメリカとスペインと一緒のグループBを勝ち抜かなければならないことになりました。アメリカには70対101の大差で敗れ、スペインには延長戦の末に75対85で敗れてしまいましたが、アンゴラ戦では30得点を記録してチームの勝利に貢献し、ドイツとの試合では25得点を挙げて3点差で辛くも勝利しました。アメリカ、スペイン、ギリシャに次いで何とか本戦枠を確保した中国でしたが、1回戦のルイジアナ戦では26点差をつけられて敗れ、トーナメント敗退を喫しました。ヤオの1試合平均19得点は大会2位、8.2リバウンドと1.5ブロックは大会3位を記録しており、このオリンピックでの活躍は2008~2009シーズンでのヤオの完全復活と成長を感じさせるようなものでした。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回紹介したキャリア中盤ではヤオはスター選手として覚醒したシーズンからすぐにケガによる欠場が続き思うような活躍を残すことができませんでした。特に2008年のプレイオフではヤオがプレーしていなかったにもかかわらず、ロケッツはジャズ相手に2勝を挙げることができたのでもしこのシリーズにヤオがいればロケッツは1回戦を突破できていたかもしれません。
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