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【選手紹介】尊敬すべき復活劇を果たした元スーパースター:グラント・ヒル(2/2)

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ケガをキャリアの転換期に出来たスター

前回紹介したようにヒルはNBAに入ってきたときから文字通り何でもできるオールラウンダーとして活躍していましたが、プレイオフでは1回戦を突破酢することができていませんでした。そして周囲の選手たちも成長し1回戦突破の最大のチャンスとなった2000年のプレイオフで元から負っていた足首のケガを悪化させてしまい、このケガに残りのキャリア全体を狂わされることになりました。初めはそのケガによってスターレベルでプレーできなかった自分にいらだっていたヒルですが、サンズへの移籍を通じて自信を優秀なロールプレイヤーに変えることができました。今回はヒルの取り返しのつかないケガを負ってしまった後のキャリアについて紹介していきます。

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新天地への移籍~期待外れのシーズン

2000年、プレイオフで足首のケガを悪化させてしまったヒルはケガの状態が確定していないながらも、復帰後のパフォーマンスに大きな期待がかかっており、FAとしてマジックに移籍し将来のスターのトレイシー・マグレディーとプレーすることを楽しみにしていました。しかし、自身のスターをただで失うわけにはいかないピストンズとの交渉が遅延しヒルは8月にサイン&トレードでマジックに移籍することになりました。マジックはヒルとマグレディーのデュオがチームを押し上げる最高のコンビになることを期待してケガを負っていたヒルを獲得しました。しかしながらやはり足首の状態は深刻なものであり、ヒルは移籍1年目にたった4試合、2年目は14試合、3年目は29試合のみの出場に留まりチームはこのトレードに完全に負けてしまいました。

そして2003年の3月に足の骨の手術を受け賢明なリハビリに取り組んだヒルは、2004~2005シーズンに復帰を果たしました。軽傷を負って数試合欠場することがありましたが、このシーズンは久しぶりに比較的健康な年を過ごし67試合の出場で、19.7得点2.3アシスト4.7リバウンドを平均し、オールスタースターターに返り咲きました。しかしヒルの復帰後のパフォーマンスは明らかにピストンズ時代のものとは違いすべてのスタッツで大きな低下を見せました。

翌シーズン、ヒルは昨年いきなり67試合にスタートとして出場したことで体に大きな負担がかかったのか、足首ではなかったものの鼠径部のケガを負いわずか21試合にしか出場できませんでした。そしてこの年ヒルは鼠径部負傷に加えてアスリートとして致命的なヘルニアを患い、手術を受けました。

そしてマジック最後のシーズンとなった2006~2007シーズン、引退も噂されたヒルでしたが、何とか復帰を果たしました。ヒルは復帰後、接触やインサイドでのプレーが必要になるSFから負担が少なく済むSGのポジションでスタートすることになりました。このシーズンも膝や足首のケガに悩まされることになりましたが、65試合に出場しました。ヘルニアや度重なる足のケガによって以前のようなアスレチックなプレーはこの頃にはすでに難しくなっており、このシーズンの平均スタッツは14.4得点2.1アシスト3.6リバウンドと大きく落ち込みオールラウンダーとしてリーグを支配していたころのヒルは完全に鳴りを潜めました。8位シードとして何とかプレイオフに進出できましたが、ピストンズにスウィープで敗れてしまい、ヒルは引退と現役続行を迷い、FAとしてサンズに移籍することを決断しました。

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サンズでの復活劇~最後のプレイオフ

2007年、FAとなったヒルはサンズと契約を交わし、移籍していきなりナッシュと共にキャプテンに任命されました。彼はナッシュが率いるアップテンポなバスケットボールに完全にフィットできました。この年は数試合を欠場しましたが、久しぶりに70試合でロールプレイヤーとして13.1得点2.9アシスト5.0リバウンドを平均し、サンズのオフェンスのキープレイヤーとして移籍1年目からチームに必要とされる選手として活躍することができました。レギュラーシーズンを終え、チームプレイが素晴らしかったサンズはプレイオフに出場することができましたが、同じくチームバスケットで知られるスパーズに1勝4敗で敗れました。

翌年、ヒルはキャリア初の全82試合出場を果たし、12.0得点2.3アシスト4.9リバウンドを平均しました。しかしながら、チームは2005年以来初めてプレイオフ進出を逃しました。

2009~2010シーズン、ヒルは優秀なロールプレイヤーとしての働きが大きく評価され、セルティックスやニックスからのオファーが来ていましたが、ナッシュ率いるサンズのチームに優勝の可能性を感じており、彼はサンズと再契約を結びました。そしてこのシーズン、ヒルは初めてプレイオフ1回戦を突破し、カンファレンス・ファイナルまで進出することができました。カンファレンス・セミファイナルではスパーズをスウィープし2008年プレイオフの屈辱を果たしましたが、次のレイカーズ戦では2勝4敗で敗れ、NBAファイナルに進出することはできませんでした。ヒル自身もこのプレイオフでは平均得点が2桁に届かず、レギュラーシーズンのような貢献を残すことはできず、チームとしても個人としても不完全燃焼なシリーズになりました。

翌年、アマレ・スタダマイアーがニックスに移籍したことでサンズは大きくロスターに変更を加えることになりました。また、急成長を見せていたドラギッチもトレードで放出され、チームの中心にはナッシュ、ヒル、ビンス・カーター、ジェイソン・リチャードソンなどの高齢選手が増えました。ヒルはこの年38歳の年齢で13得点以上を平均した7人目の選手となり、1月15日のブレイザーズ戦ではキャリア通算16,000得点を達成しました。この年サンズは40勝42敗の成績を記録し決して悪くない結果を残しましたがライバルひしめくカンファレンスではプレイオフに進出することはできず、ヒルはこのまま翌年もプレイオフを逃しました。

2012年、サンズとの契約が切れると彼は数々の優勝候補からロールプレイヤーとしての貢献を期待されていました。具体的にはレイカーズ、ヒート、ニックス、ブレイザーズ、OKCサンダーの5チームからオファーを受けており、ヒルはベンチプレイヤー界のスター選手として認識されていました。しかしそれでもヒルはクリス・ポール率い「リブシティー・クリッパーズ」の一員としてキャリア最後の年を過ごすことを選びました。しかし2008年からは」健康にプレーしていた彼はこの年に右膝のケガを負ってしまいシーズン開幕から3か月の欠場を余儀なくされました。このシーズンヒルはたった29試合の出場に留まり、スタッツも平均3.2得点1.7リバウンドと昨年までのスーパーロールプレイヤーの面影すら失ってしまいました。そしてプレイオフ1回戦でグリズリーズ相手に6戦で敗退し、ヒルは1度もNBAファイナルに出ることができないまま引退を表明しました。

まとめ

いかがだったでしょうか。圧倒的な実力を持つスター時代と最高のロールプレイヤーとして活躍したマジック時代以降のヒルを見て彼がケガをしていなかったらどのような選手になっていただろうかと想像してしまうのはNBAファンとして当然のことだと思います。しかしそれでも殿堂入りを達成した彼のことを素直に素晴らしい選手として見てほしいと思います。

このブログではNBAの歴代選手や歴代チームの紹介をしています。NBAやバスケに興味がある方は是非引き続きお読みいただけると嬉しいです!